Author Archive投手起用のルール昨日に続いて、野球のルールのお話しです。 昨日の、フォーフィッテッドゲームの際の記録についてはまた後日とさせてください。 と、言うのも今日の広島県大会準決勝で、投手交代のルールに関して1時間程度(それ以上?)の中断があったからです。 試合は九回裏に同点に追いつく試合展開となって延長戦に突入しました。 10回表は守備側の投手は左腕投手で始まりました。 左バッターを抑えたところで、右打者に対しては右サイドスローの投手を起用。 そして左打者が登場すると、再びレフトの守備についていた左腕投手が再登板。 (この投手交代のパターンは9回表から始まっていました。かつて三原監督や野村監督が使った選手起用でもあります。) そして2死2塁の場面となって右打者が打席に。 ここで守備側は右腕投手の再登板と、左腕投手の左翼への交代を告げましたが、球審がその選手交代を認めない旨を伝えました。 しかし守備側のチームが納得せず長時間の試合中断となってしまったのです。 長時間の中断中、何度か「ルールに関しての解釈について協議中ですので暫くお待ち下さい。」とアナウンスが流れました。 結局、審判団・大会役員の協議の結果、投手交代は認められず、左腕投手登板のまま試合が続行され、再開後の初球を叩いた右打者の打球はセンター前に抜けて決勝点が入りました。
この回の投手交代を再度振り返ってみましょう。 左のA投手→右のB投手→左のA投手 と交代しましたが、「再び右のB投手が登板し、左のA投手がベンチに下がらず守備につく」事が認められなかったのです。 公認野球規則の3.03の【原注】には次のように記述されています。 同一イニングでは、投手が一度ある守備位置についたら、再び投手になる以外他の守備位置に移る事はできないし、投手に戻ってから投手以外の守備位置に移ることも出来ない。 要するに、「同一イニングで2度目の登板をしたら、その回を終えない限り交代できないし、交代するとしたらベンチに下がる以外は無い」のです。 この時、守備側のチームは選手を使い果たしており、交代すれば「プレーヤーが9人に満たない状態」となって、没収試合になりかねず、左腕投手の続投以外に試合を続行する道はない状況だったのです。
試合再開前、審判団は中断が長引いてしまった不手際について観客にわびていました。 確かにそうかもしれません。 しかし、時間はかかったかもしれませんが、審判団・大会役員の判断は正しかった。 公認野球規則の3.05には先発投手及び救援投手の義務 についての記述があり、その【原注】にはこう書かれているからです。 監督が本項に違反して投手を退かせようとしたときには、審判員はその監督に不可能である旨を通告しなければならない。 たまたま、球審が看過して規則で許されていない投手の出場を発表してしまった場合でも、その投手が投球する前なら正しい状態に戻す事が出来る。 万一、誤って出場した投手が一球でも投じてしまえば、その投手は正規の投手となる。 つまり、審判団はギリギリで野球規則を守り、かつ選手たちに試合続行の道を示した事になるのです。 そのまま試合を続行しても公式記録として認められますが、非正規な公式記録を作る事を防ぎ、両チームに公正なスポーツ精神を示すことができた。 過去にフォアボールなのにそのまま打者が打席に残っていたとか、三振なのに次の球をホームランにしたとかいう記録は結構残っています。 時間はかかったけれど非正規記録を作らず、高校生にフェアな精神を示すことができた審判団・大会役員のファインプレーだと思います。 野球のルールってホント奥深いですね。
と、ここで終わらないのがキノル・スポーツ・ワークス。 この投手交代に関するルールの解釈には、実は伏線があるのです。 このチームの投手交代パターンは、春の県大会でもここぞと言うときに結構あって、一部で密かな話題になっていました。 実際に私もこの目で見ました。 左対左、右対右という徹底した戦術で、同一イニングで同一投手が2度以上マウンドに上がって交代し、なお且つベンチに下がっていない場面がありました。 夏の大会前には審判団にも、大会役員にもある程度の議論があったであろうし、今日の試合の相手チームの監督さんも、そんな場面に備えてルールについて研究されていたのでしょう。 この相手チームの監督さんは緻密な野球で全国的に有名な学校の選手・監督経験者です。 (恐るべし広○野球) まさに野球って、知的なゲームなんですね。
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